和泉末夫氏への道はこの写真から始まりました。去年の12月のことです。
塩田王 木村仁平さんは、現在太陽光発電所などがある実成新開に塩田を造った人で、
その功績を讃えるための石像が昭和16年にこの地に置かれました(その後塩田は、安浦海兵団建設により消滅)。
神社にあるような狛犬に守られ、椅子に腰をおろす木村翁の姿は威風堂々。
像の裏には翁の業績が刻まれ、脇の石板には像の設立に関わった人の名前がズラリ。その中に「彫刻 石工 牟礼 和泉末夫」の名前が。
牟礼といえば、香川県の有名な石材の産地。現在は高松市域で、高松市観光協会のホームページから引用すると、
「山全体が花崗岩からなる五剣山のある庵治・牟礼は、日本有数の石材産地です。世界一硬くて高価な庵治石は「花崗岩のダイヤモンド」とよばれ、その加工技術の歴史は古く平安時代から連綿と受け継がれています。」
加工技術の伝統も受け継がれ、今でも優れた技術を持つ「石工(いしく)」の町でもあるのです。
木村仁平氏も讃岐(香川県)出身であり、その縁で石像の製作を牟礼の石工に依頼したのでしょうか。
和泉末夫氏のことを知りたいと思い調べました。
牟礼には和泉姓の高名な石の芸術家が居たり、石材店があったりすることがわかりました。
しかし、「末夫」さんのことは不明。思い切って石材店に問い合わせると、数日後「よくわかりませんでした」と丁寧なご返答をいただきました。
こうして「和泉末夫」氏は、いったん幻の名工になったのでした。